講座一覧

特別講座 ほとがく × カオス*ラウンジ新芸術祭2017 市街劇「百五〇年の孤独」

ほとがく
×
カオス*ラウンジ新芸術祭2017 市街劇「百五〇年の孤独

特別講座百五〇年の誤読
ー廃仏毀釈と3.11における「断絶」から「復興」への巡礼ー

黒瀬陽平氏(カオス*ラウンジ代表)×師茂樹氏(花園大学教授)×亀山隆彦氏(龍谷大学非常勤講師)

日時:2018年1月16日(火)18:30~

第一部 カオス*ラウンジ芸術祭2017 市街劇「百五〇年の孤独」について (黒瀬陽平氏)
 http://chaosxlounge.com/wp/archives/2157

第二部 ディスカッション (パネラー:黒瀬陽平氏、師茂樹氏、司会:亀山隆彦氏)

会場:会津若松市生涯学習総合センター【會津稽古堂】多目的ホール
 福島県会津若松市栄町3番50号 TEL:0242-22-4700
 JR会津若松駅から1.5km/磐越道 会津若松インターから3.6km

受講料:一般1,000円、30歳以下・障害者手帳お持ちの方500円、学生無料

【特別講座開催にあたって】
私たちはとても辛い経験をしたとき、しばしばその経験を忘れようとしたり、別の記憶で上書きしようとしたりします。それは社会も同じです。私たちの社会は、歴史上何度も急激な変化にともなう犠牲や悲しみを乗り越えてきています。150年という節目を迎え、現在様々なイベントが開催されている明治維新前後の出来事もその一つです。
明治維新の前後には、廃仏毀釈という大きな運動がありました。天皇=神道中心の政治体制を作ろうとした人々が、神道と一体化していた仏教を排除することを試みたのです。これによって多くの仏教寺院が破壊される一方、神道の側も仏教が抜けた穴を新しく創作したもので埋めたりしたので、しばらくして混乱が落ち着いた頃には江戸時代以前とは別の神道と仏教ができあがっていました。
また、鹿児島の薩摩藩やいわき市の泉藩のように徹底的な廃仏毀釈が行われた地域では、寺院がほとんど復興しない、ということもありました。そのような断絶を経験したとき、多くの人々は現在の状況が遠い過去から連続している、という物語を作り、共有し、断絶がなかったようにふるまいました。そのなかで、さまざまな人やモノ、記憶が社会的に忘却されていきました。
2015年から続くカオス*ラウンジ新芸術祭では、福島県いわき市を舞台に、平安時代初期の徳一菩薩や江戸時代の袋中上人、いわきの伝承文化、泉藩の廃仏毀釈などに注目しながら、市街劇という手法を通して、歴史のなかで忘れられた「ありえたかもしれない歴史」を掘り起し、新しい物語を創作する、という活動をしてきました。
一方「会津ほとけの学校」の講座を担当してきた師茂樹氏は、仏教思想史のなかで展開される哲学・思想と、高僧たちの伝記を書くこと(歴史叙述)がいかに連動しているかに注目し、『論理と歴史』などの研究を発表してきました。歴史を書く、ということは、過去にあった様々な出来事や人・モノのなかから、現在の自分にとって都合のよいものを取捨選択し、因果関係で並べて語る(騙る)行為です。現在共有されている「歴史」は、常に「ありえたかもしれない歴史」とともにあるのです。
カオス*ラウンジ新芸術祭のキュレーター・黒瀬陽平氏と、師茂樹氏とは、美術批評と仏教研究というまったく異なるフィールドながら、上記のような問題意識を持つお互いの仕事に注目し合っていました。今回、仏教思想研究と現代美術活動の架橋に取り組んできた亀山隆彦氏の仲介により、本講座が企画されました。
今、私たちの社会は、東日本大震災という直視しがたい経験をし、多くの物語を作ってそれを乗り越えようとしています。そしてその物語化のなかでは、現在の私たちにとって都合のよい出来事だけが選択され、そうでないものは忘れられようとしています。150年前に経験したことを掘り起こすことは、これからの私たちの経験に光を当てることにもなるでしょう。

講師紹介

黒瀬陽平 (カオス*ラウンジ代表)

1983年生まれ。美術家、美術批評家。ゲンロン カオス*ラウンジ新芸術校主任講師。東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。主なキュレーション作品に『破滅*ラウンジ』(2010年)、『カオス*イグザイル』(F/T11主催作品、2011年)、『キャラクラッシュ!』(2014年)、『カオス*ラウンジ新芸術祭2015「市街劇 怒りの日」』(2015年)など。著書に『情報社会の情念』(NHK出版、2013年)。

@kaichoo

師茂樹 (花園大学 教授)

1972 年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東洋大学大学院満期退学。博士(文化交渉学・関西大学)。著書『論理と歴史―東アジア佛教論理学の形成と展開』(ナカニシヤ出版)など。東アジアの唯識思想・仏教論理学を出発点に、現代思想や情報学、マンガ表現論などともリンクさせながら、仏教を研究中。

http://moromoro.jp/morosiki
moroshigeki
@moroshigeki

先生からのメッセージ
「仏教は、何でも説明してくれるわけではありませんが、様々な知の扉を開く鍵となる、学びがいのあるものです。扉の向こうには、またいくつも扉があるでしょう。それをさらに通り抜けるための鍵を探すのは、時に面倒で時間がかかり悩んだりすることもありますが、一方で大きな楽しみをもたらしてくれることもあります。みなさんがその楽しさを手に入れるお手伝いができれば幸いです。」

亀山隆彦 (龍谷大学非常勤講師)

1979年生まれ。龍谷大学大学院文学研究科仏教学専攻博士課程修了(博士〔文学〕)。米国仏教大学院(Institute of Buddhist Studies)博士研究員を経て、現在は龍谷大学非常勤講師、および同大学世界仏教文化研究センターリサーチ・アシスタント。専門は仏教学、密教学、日本宗教学。論文「六大と赤白二渧 : 真言密教思想における胎生学的教説の意義」など。密教と禅の教理研究を起点に、日本人の精神文化の基盤を探求する。

@TakaKame7